トリュフォー監督のこの映画は一度しか見ていない。原題の“Jules et Jim ”は“ジュールとジム”で、映画であればそれは適切なのだろう。
南佳孝「
ラスト・ピクチャー・ショウ」に収められた、この映画から採った同名の曲は、よく聴いた。何度も聴いた。いまでも聴いている。人知れず会う喜びと哀しみを歌うこの歌は、この映画の世界観を匂わせながらも再構築された、恋人たちの機微を描いた佳作だった(作詞・松本隆)。
映画の好きな人は、それが二次的に与えられたオリジナルを超え得ない表現、と思いながらもオマージュのように同名のタイトルを使うものらしい。が、時にそれは再び人の心で燃えさかり、いつしか灰となっていく。
邦題の語感が、映画そのものよりぼくは好きだった。それでも、今日はジャンヌ・モローに哀悼の意をささげたい。