時に言葉は、何よりも鋭利なもの。そう思って黙りこんでいても、握りこんだ刃は掌を切る。
後期に入って、広報誌を作るにも気乗りのしない日々が三週ほど続いた。今までの五年間でここまで制作意欲が落ち込んでしまったことは、一度もなかったのに。
ふれあい音楽会がなかったら、果たしてどうなっていたんだろう。お二人には、全くいい時に演奏していただけた。お二人で本当によかった。
食事に帰ると下の娘が、熱が出て寝ていた。寝付く前、娘は「この熱は涙が出る」と言ったらしい。こんな時、何かしてやれるかというと、何ができるというものでもなく、店に戻って部員さんの撮ってくれた写真の編集作業をすることにした。
撮り手が違うと、流れている時間の速さが違う。ゆっくり子どもたちに向けられる眼差しは、時に聖母のそれですらある。とてもかなうようなものではない。心で押すシャッターが、静かに時を止めている。
黒子であることが、父親の変わらない仕事らしい。それなら続けられるかもしれない。