亡きLaura Branigan(1984)でヒットした、Raf(1984)の作品。
当時、アルバムを期待して買った僕に、冷ややかに「MTVなんかにノセられて、買っちゃって」と言った友人がいたのだが、うわっつらそうだったかもしれない。
刹那的で、きっといつかは冷めてしまう熱情を歌うセンシュアルな曲なのだけれど、なお佳曲である。当時のエレクトロポップにのったアレンジが、熱唱派のBraniganには微妙にミスマッチなところで“迷う息遣い”を引き出し、耳に残ったようにも思う。
そんな「行ったり来たりな」メロディは、多くのカバーを生んだ。すべてをチェックしたわけではないけれども、Infernal(2005)、Dave Sinclair(2008)といったあたりは、今まで愛聴している。
が、今年は例年のように真夏の夜ではなく、すっかり秋になってこの曲に心を奪われることになったヴァージョンがHonestnotes feat. Daniela Bauer(2011)。あれ、もう五年前だ。
Tracey Thornのような“一枚噛んだボサ”でもあるが、二人の、この糸のほどけていくようなフェイクは絶妙である。原曲のモノタナスなコード進行から抜け出せない煩悩から、しどけなく救い出してくれる。
1:10あたりで映るStevie Wonder「Innervisions」 のジャケにも、ニヤリ。