慌てず行こう。こなれる程度の弛さでルートを決めて、あれこれ回って行きました^^。
「酒津焼の美」と「写すこと・表現すること」が、2階をぐるり回る形で展示されていました。
もちろん高原洋一先生の「GEOMETRIC NARCISSUS 90・D」(幾何学的ナーシサス)を見に行くというのが、ひときわ大きな目的だったのですが、他にも思いがけない出会いがあるのが、こうした展示のドキドキするところです。
海鼠釉の美しい酒津焼に多く触れることができたのも楽しかったし、その後ろに展示されていた岡本淡雅「黄昏(こうこん)」の樹木の表現にも魅了されました。
現代画を中心とした「写すこと・表現すること」では、満谷国四郎「戦の話」での屋内の逆光の吸い込まれるような扱いと、繊細な人物の心理描写に圧倒されました。
しかし、なんといっても高原先生の「GEOMETRIC NARCISSUS 90・D」は素晴らしかったです。
黄色いオブジェの美しい着色(水の上と中で色が刷り別けられていました)や、背後とのズレ(偶然なのかもしれないですが、そこにコントロールを感じます)を微妙に残して立体感をつけたり。
写真の部分を構成しているドットも、寄ってみると一点一点が生きていて“芯がある”感じです。その積み重ねが全体に茫漠とした対象に、存在感を与えていることが見て取れます。
一見デジタル的な印象を表面的には与えながらも、その成り立ちは実にハイパーアナログのなせる職人的な表現に、ただ刮目するばかりでした。