カトリック教会は残響がほとんどなく、音楽、とりわけこの日のようなオルガンを聴くのに、ベストと言える環境ではないのかもしれない。音が細って量感を欠いたり、あるいはフルストップで鳴らすと、やかましく無機的な響きになったり、それで少なからぬ失望を覚えたことが、これまでに何度もあった。
私たちのオルガニストは、それをどう取り込んで克服するのだろうか。
最初のスウェーリンク「半音階的幻想曲」が鳴り始めたとき、そういった懸念が払拭された。なんとも柔らかで馥郁たる香気を含んだ、たて笛のような音が聞こえてくる。
音楽は、安定を保ちつつも、不思議な揺れの感覚をともなって、私たちを瞑想に誘う。
ストップの選択、指先の技術…、またそれを超えた内奥からの美の要求…。
音楽をくだらないと言ってしまえば、それも真であり、かつ、そんな音楽に熱中したり、人と人とが出会い繋がったりする、これもまた不思議な事実だ。
オルガン・リサイタルの後の打ち上げ、教会の近くの居酒屋で、源造さんを囲んで10人の人間があつまり、まあ7割方くだらない話に興じ、酒を呑み、笑い、そして再会を願ってそれぞれの暮らしの場に戻っていく。そして、日常に埋没しながら、また、音楽の場が恋しくなる。それの繰り返しかな。
今回も、数多くの方々のご支援とご協力によって、演奏会を終えることができました。
ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
(全文・主宰 改行編集・optsuzaki)