田中信昭指揮,東京混声合唱団,高橋悠治(p)他(ビクター KVX-5516 ¥1,500)
“現代の日本の音楽名盤シリーズ”(全15巻)の最終巻は高橋悠治の作品集です。高橋は現在わが国における最も刺激的な作曲家の1人ですが、1964年〜1973年までのほぼ10年間に発表された曲の中から4曲を選んだこのレコードを聞いても、彼が<音>を通していかにアレグレッシブ(原文ママ)に果敢に現代というこの時代に問題提起を鋭く投げかけている作曲家かということがよく分ります。現代数学の集合論を使って作曲されたくクロマモルフ II> [1964) での、激しく衝突しあう音の星雲とでもいいたい音群たちの連鎖と流動の美しさ。副題に「楚辞による祭祀劇」とある合唱を伴った一種のシアター・ピース <たまをぎ> での非日常的な呪術空間の造型力など、大変面白く聞きました。
(安原顯)
古いレコードマンスリー、小さく細い明朝体を写真からの画像入力で、文字起こししてみました。5か所読み間違えましたが、けっこう正確なスキャンで、ずいぶん手間が違います。
こうして、古い広告が検索可能なテキストになるのも、何かのお役に立つかも。