ダン・タイ・ソン ピアノ・リサイタルへ
列車は西にひた走っていきます。が、笠岡を発った時間の都合で、運悪く一つ手前の駅までしか行かない「糸崎」行きに乗り合わせてしまいました。会場に遅れて到着すること20分、豪快なショパンがエントランスにまで響いていましたが、曲の合間に小さくなって席に着きました。 ヤレヤレ~
ショパン:前奏曲 嬰ハ短調 op.45
ショパン:マズルカ 変ロ長調 op.17-1
ショパン:マズルカ ヘ短調 op.7-3
ショパン:マズルカ 嬰ハ短調 op.50-3
ショパン:スケルツォ第3番 嬰ハ短調 op.39
リスト:巡礼の年第1年「スイス」から ジュネーヴの鐘
リスト:ベッリーニ「ノルマ」の回想
シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D960
コンクールの覇者が弾くショパンやリストも素晴らしいのでしょうけれども、この半年間で最も回数を聞いた曲と思われる、シューベルトのピアノソナタ21番が、今日のぼくのお目当てです。
その21番の感想ですか、...そうですね。ダン・タイ・ソンの弾くよどみない21番と比べ、なんとぼくのこうした日常は、ゴツゴツと思いに任せないのでしょうか・笑。でも、21番というのは、そんなスラプスティックな人生を俯瞰したり、語りつくせぬ哀しみを回顧したりするような曲だとも思います。きっと世界を歩いたダン・タイ・ソンにも、うかがい知れない程の逆境があったことでしょう。にもかかわらず、見事なハンドルさばきのレーシングカーのような流麗さが、その営みの匂いを消し去っているとさえ感じるのです。
お誘いいただいた皆様、遅刻しつつもこんな不埒な感想を抱いてしまったぼくですが、どうかまた懲りずにお声を下さいまし...。