はじめてご本人にお目にかかった時のこと。
僕は、何を話したりどうしていいのかわからないまま、
悠治さんのそばで突っ立っていた。
ふと、メガネが変形して開いているのに気づき、
「悠治さん、近視だったんですね、
それで譜面がメガネなしで見えるんですね...。」
なんて話をしながら、工具がないまま
机の角を利用して、智を曲げて、幅を直した。
「ふーん、ネジを締めるんじゃないのね。」
あらゆる手の動きが、興味の対象なのかも。
僕の手先に目を凝らす様子は、
好奇心と慈愛に満ちたものだった。
(文・optsuzaki)
当時の正解本舗(現ジャズ大衆舎)発行の低所得者用切符。まあなんというか。 |