笠岡市 めがねと補聴器専門店・ツザキが お店の日常と 小さなまちでの活動などを綴ります

2012-11-09

これがそのCENTURIA・で

野の宝石、か

これがそのCENTURIA という投稿をして、だいぶ経ってますね。

期限切れもそろそろ良い感じになってきたので(どういう意味:) 、
先日やっと、山へふらふら撮りに行きました。

まだフィルムを通していなかったPENTAX MG + 50/2.0の試写も
兼ねています。軽くてファインダーの明るいMGは、深まる秋の
彩りを次々と捉えてくれました。

CENTURIA200は、少しおとなしい発色と聞いていましたが、
ある意味ハッタリのない感じで、レンズによってはなかなか
いい雰囲気でした。

といっても、もう無い、のでしょうけれども。

2012-11-08

2012 笠岡小学校音楽鑑賞会のご案内


東京フィルハーモニー交響楽団等で活躍するメンバーによる
演奏会のご案内

11月20日(火) 13:45〜14:45 

笠岡小学校 貫閲講堂

一般の皆様もご自由に入場いただけます


・演奏曲目

モーツァルト :ディベルティメント1番より 第一楽章
ロッシーニ  :チェロとコントラバスのための二重奏曲より 第三楽章
ドヴォルザーク:四つのロマンティックな小品より「カヴァティーナ」
アレンスキー :チャイコフスキーの主題による変奏曲

【追加・変更がわかり次第こちらにアップします】


・プロフィール

西野彰啓(にしのあきひろ)
音楽のちから 代表
鹿児島生まれ、鹿児島育ち。
現在、日本社会事業大学 精神保健福祉士養成課程 在籍。
伊豆の山奥から富士山を眺めながら生活している。

近藤薫(こんどうかおる)
3歳ぐらいからヴァイオリンを始め音楽に導かれるままその道へ。
東京藝術大学、東京フィルで大切な仲間に出会い、音楽の力を信じ、
今は主に九州交響楽団で演奏中。

戸上眞里(とがみまり)
東京藝術大学音楽学部付属高校を経て同大学を卒業。
田中千香士氏に師事。新日本フィルハーモニー交響楽団ファースト
ヴァイオリン奏者を経て、現在東京フィル・セカンドヴァイオリン
首席奏者。バッハ教会管弦楽団首席奏者。

中村洋乃理(なかむらひろのり)
9歳からヴァイオリンを始め、17歳からヴィオラに転向。
笠岡幼稚園、笠岡小、笠岡西中、笠岡高校と笠岡どっぷりな
生活の後、音楽と共に生きるため一念発起して愛知県立芸術大学へ。
後、東京藝術大学大学院を修了し念願だったオーケストラの団員になる。
現在、東京フィル、ヴィオラフォアシュピーラー。

渡邉辰紀(わたなべたつき)
東京藝大において安宅賞、日本音楽コンクール入賞。デトモルト音楽大学首席卒業。
北西ドイツフィルハーモニーとの共演によるフリードリヒ・グルダ「チェロ協奏曲」
が反響を呼ぶ。バイエルン放送、ドイツ放送出演など高く評価されている。
北西ドイツフィルハーモニーソロチェリストを経て、2006年より東京フィル・
首席チェリストに就任。

遠藤柊一郎(えんどうしゅういちろう)
東京藝術大学音楽学部器楽科卒業。同年、東京フィルハーモニー交響楽団に入団。
オーケストラでの活動と共に、室内楽においては、伊藤恵、花房晴美、フジコ
・ヘミングらと共演。小田原のお菓子・ギャラリー「菜の花」、銀座のギャラリー
&バー、山梨の古民家ギャラリーでのソロ演奏などを開催している。


音楽のちからとは                      

東京フィルハーモニー交響楽団で活躍するメンバーを中心に結成したユニット。

「全国の子ども達に本物の音楽を届けよう。」と、代表 西野彰啓さんの呼び掛け
により集まった。全国の小学校、幼稚園、老人ホーム、介護施設、養護施設などで、
“音楽のちから”コンサートを開催。

吹き抜けを抜けて


弱い秋の陽も、お休みの店内には静かな照明。思わぬ奥まで店内を
照らします。

旧店舗は北向きで全暗黒でしたが、こうしてほの温かい光が
静かな店内をそっと包みます。

不具合の出た加工を送り出しなおして、そろそろ店を後にしますか。

2012-11-07

街と人を思う気持ち

旧暦24日の今日、恒例のおかげいち、でした。

いいお天気かなと思っても、薄ら寒ければ、
大仙院にお参りに行くみなさんのご年代では、
けっこう堪えるものかもしれません。

今日は、振興組合の催事で、フライ豆を売っていました。

美味しそうでしょう~

昨日、袋詰にした豆200グラム強・100円。
数にして80袋を2時間ほどで完売しました。

2個、3個...あるいは5個、と、もとめる方もいらっしゃいます!
そんな方には、補聴器の袋に入れて手渡します。

街中をWIDEXの袋が行き交うのは、あまりみられないことなので
少し微笑ましいです。



平生と違い、外でこういう手売りをしていて思うことは、いろいろあります。

知っている方達も通りすぎますが、それ以上に、こんなに笠岡にも知らない
方が出入りしているのか...。

街を訪ねる目的は各々違っていても、ここに何か必要なことがあり、
それが満たされるから来る、というあたりまえのことが動機なのでしょう。

それらは、モノを買いに来るといった明確に答えられる理由もあれば、
人が歩いているから足が向く、というだけのものもあるでしょうけどね。

「必要とされるということ」は、なかなか言葉にうまくできないのですが、
そこに実に幅広い糸口を持っているのだ、と。

幅が広いのに人の数が少ない、という結びつきをどうやって取りもっていくか、
というのが難しさなのですが、その糸掛けを果たすのが「街と人を思う気持ち」
ではないかなぁと、ついさっきから反芻しています。




2012-11-06

インヴェンツィオンとシンフォニアについて Part12

インヴェンツィオンとシンフォニアについて
Part12
武久源造




前回は、今月の18日に私が福山で演奏するカークマン・モデルのチェンバロでは、13
種類の異なる音色を作ることができる、というお話をしました。

ここで少し専門的な話になりますが、実は、オリジナルのカークマンの仕様では、鍵
盤を動かして、カプラーをオン・オフする仕掛けは装備されていませんでした。した
がって、もともとのカークマンでは得られる音色の種類はもっと少なかったことにな
ります。福山延広教会にあるチェンバロは、製作者のフィリップ・タイアーと私のア
イディアで、オリジナルのカークマン仕様に、ジャーマン・カプラーと呼ばれる仕掛
けを組み込んだものなのです。

翻って、現在、世界の多くのチェンバロ、そして、日本で作られるほとんどのチェン
バロでは、後期フレンチ・モデルと言われる仕様が標準化されています。そこでは、
2段ある鍵盤の上鍵盤の方を動かしてカプラーをオン・オフするフレンチ・カプラー
が特徴的です。しかし、私は、特にバッハを弾く場合は、ジャーマン・モデル、即ち
ドイツ語圏で好まれたタイプのチェンバロ(ツェルやジルバーマン)を愛用していま
すが、そこでは、下鍵盤を動かしてオン・オフするジャーマン・カプラーが用いられ
ていました。一方、カークマンは、イギリスで名を成した製作家でしたが、もともと
はドイツから移住した人でした。というわけで、カークマン・モデルにジャーマン・
カプラーを組み込むことは、ごく自然なことのように、私には思われました。

こういうことは、一般の聴き手の皆さんには、あまり興味を持っていただけないこと
かも知れませんが、私のようなチェンバリストにとっては、非常に気になるポイント
の一つなのです。まあそれはさておき、ここまで読んでくださった方の中には、
「今までチェンバロの演奏を聴いていて、13種類もの異なる音色を聴いた覚えはない
ぞ」と、いぶかしく思われた向きもあるでしょう。実は、そう思われたとしても仕方
がない、という面があります。たとえば、去る5月に、私が延広教会で『ゴールトベ
ルク変奏曲』を弾いた時には、合計8種類の音色しか使いませんでした。しかし、こ
の8種類という数にしても、今日、世の標準的なチェンバロ演奏からすると、法外な
数です。現在、演奏会や録音などで聴かれる、チェンバロによる『ゴールトベルク』
の演奏では、ほぼ4種類の音色で、ほとんどの曲を弾いてしまう、というケースが大
半です。その4種類を列挙すると、

1)バック8'、
2)フロント8'、
3)バック8'+フロント8'、
4)バック8'+フロント8'+4'。

しかも、この4種類は、いつも均等に使われるわけではありません。全体のほぼ半分
強は1)と2)で弾かれ、3)が2・3割、4)は1割弱、といったところです。

このように、現在チェンバリストの間で、音色に関して、ごく禁欲的な演奏が瀰漫し
ているのには、いくつかの理由があります。それを理解するには、チェンバロ復興の
歴史を考える必要があります。

チェンバロは、20世紀初頭に復興された古楽器です。復興当初は、プレイエルなどの
ピアノ・メーカーが、現代ピアノの技術を応用して、チェンバロらしきものを拵えた、
という状態でした。。「現代の進んだぎぎゅつがあるのに、なぜ、昔の製法に戻る必
要があるのか」というのが、当時の人々の考え方でした。だから、そのころ復興試作
されたチェンバロには、巨大な鉄骨が入っていたりして、まるで現代ピアノのような
外見のものもありました。そのような楽器を、我々は今、モダン・チェンバロと呼ん
でいます。その後、少しずつ、昔のチェンバロの姿に戻ろうとする傾向が強まっては
きましたが、1950年代までは、基本的にモダン・チェンバロの時代でした。大型のモ
ダン・チェンバロでは、鍵盤は2段、弦は4セット、ジャックは5列、ストップは八つ、
というのが標準でした。これは、その昔、16~18世紀に各国各地域のチェンバロ・
メーカーたちが独自に開発していた様々な仕掛けや仕組みを、1台のチェンバロに全て組
み込もうとした結果でした。つまり、いいとこどりをやろうとしたわけですが、この
結果、ごちゃごちゃといろいろな装置が取り付けられた楽器になってしまった。

こういうモダン・チェンバロを弾いていた我々の先輩たちは、元オルガ二スト、ある
いは、オルガニストと兼務、という奏者が多かった。ヘルムート・ヴァルヒャやカー
ル・リヒターはそういう「オルガニスト兼チェンバリスト」の代表格でした。彼らは、
オルガンと同じ発想で、チェンバロの音色の組み合わせを大胆に変化させました。曲
の演奏中でも音色を自由に変えられるように、足で操作するペダル機構が開発され、
彼らはそれを駆使して、昔のチェンバロ曲を、いわばオーケストレーションして演奏
したのでした。

こういう演奏で派手にオーケストレーションされた『インヴェンツィオン』などを聴
くと、確かに、ピアノとは違う、「チェンバロ独特の世界」というものを、誰でも直
ちに感じ取ることができました。この分かりやすさのために、モダン・チェンバロは、
最近まで、様々な用途に使われたのでした。この楽器の為に曲を書いた現代作曲家も
多く、その中には、今でもなお演奏され続けている秀作が少なくありません。中でも
有名な物には、ファリャの『チェンバロと六つの楽器のためのコンチェルト』、プー
ランクの『田園協奏曲』、リゲティーの『コンティヌーウム』などがあります。

しかし、このモダン・チェンバロには大きな欠点がありました。それは、余りにも様々
な仕掛けを装着したために、チェンバロ本体の共鳴が阻害され、8'一列というような、
ごく単純な音色を選んだ場合、音が痩せていかにも貧弱、特に、基音や低次倍音が弱
かったことです。また、多くのモダン・チェンバロでは、はじく音を柔らかくするた
めに、爪には皮革材などを用いていました。これはやはり、人々の耳があまりにもピ
アノの音に適合していたために、鋭くはじく本来のチェンバロの音を受け入れなかっ
たためと思われます。(確かに、18世紀でも、革材で弦をはじくことは、一部のチェ
ンバロで行われてはいたのですが、それは、明らかにチェンバロの本来の音ではあり
ませんでした。)本来のチェンバロは、鷲や鷹などの硬くてしなやかな羽軸を削って
作った爪で、比較的柔らかい金属の弦をはじく。その時に生まれる強い基音と豊かな
倍音、そして、ある種のノイズも含めて、それらを受け止め、十分に膨らませて、音
楽的な音に育てる響体を持っていました。その響体には、ちょうどヴァイオリンやチ
ェロがそうであるように、できるだけ余計な物を取り付けず、自由に響く状態にして
おくのがベストでした。このようなチェンバロでは、一本の弦を単純に鳴らしただけ
でも、その1音の中に、強い基音、そして、弦の長さの2分の1が出す8度、3分の2の5
度、4分の3の4度、5分の4の長3度、6分の5の短3度など、音階のあらゆる音が同時に
鳴る。つまり、巧みに作られ、良く調整されたチェンバロであれば、1音の中に全て
の音が聴こえる、という、極めて宇宙的な楽器であったわけです。そして、そのよう
なチェンバロは、やはり、昔通りのやり方で作らないと、できない。このことが、
1960年前後に発見されると、チェンバロをできるだけ、それが生まれた時代のやり方
に忠実に再現しようという製作家が現れ、また、それを、昔通りの弾き方で弾こうと
いう演奏家が現れ始めました。現在私たちも、基本的にはその仕事を推し進めている
わけです。こうしてできた楽器を、ヒストリカルな楽器、と呼んでいます。

このようにして、ヒストリカルなチェンバロを弾き始めた人たちは、モダン・チェン
バロの奏者とは逆に、あまり、ストップ操作を多用せず、できるだけシンプルな音色
で弾くのを好みました。その方が、チェンバロ本来の魅力が、より明瞭に伝わると思
われたからです。特に16世紀や、17世紀前半に作られた初期のチェンバロでは、弦も
2セット、ジャックも2列、鍵盤は1段というものが多かった。こういうチェンバロで
は、もともと、あまり多くの種類の音色は作れません。この種のシンプルなチェンバ
ロが、チェンバロの基本であるとすれば、音色の変化に頼らず、弦の振動が響体の中
で時間的に変化する過程で聴かれる多様な揺らぎを生かした奏法、つまり、私がこの
解説のPart10で述べたような奏法こそが、チェンバロ演奏の王道であると考えられま
す。モダン・チェンバロの時代には、我々の先輩たちは19世紀的な美学と、ピアノや
オルガンの奏法を延長応用してチェンバロを弾いていたと言えるでしょう。それが、
ヒストリカル・チェンバロの時代になって我々は、17世紀や18世紀に書かれた奏法の
教科書や指南書を読み始めた。例えば、モーツァルトの同時代社テュルクの『クラヴ
ィーア教本』には、時間を伸縮させて弾く双方が開設されています。また、バッハの
従弟ヴァルターは、「鍵盤奏者は7種類のレガートを使えなければならない」と言い、
それについて詳細な解説を書き残しています。さらに、原点資料の中には、興味深い
昔の指使いを書き残した物も、かなりたくさん散見されます。こういうものを再構成
して、音楽修辞学の考え方に従いつつ、チェンバロ音楽の解釈と奏法を甦らせる。そ
れが、我々のやっていることであるわけです。しかし、それは、昔の美学の不器用な
真似ごとに終わってはいけないと思います。そこに、現代を生きる我々の感覚が創造
的に盛り込まれてくるのは当然のことであり、そうでなければ、その音楽は我々の財
産とはなりえないと思うからです。


ところで、18世紀半ば、バッハの晩年には、チェンバロは既にその衰退期に入ってい
ました。この時代になると、チェンバロには、本来なかったような仕掛けを取り付け
て、音色の多様さが求められるようになった。カークマン・チェンバロなども、その
例の一つです。
こういうわけで、バッハがその円熟期を迎えたころ、チェンバロはちょっと微妙な段
階に差し掛かっていたわけです。バッハの大作の多くは、専ら、2段鍵盤の大型チェ
ンバロのために作曲されました。オルガンの名手でもあったバッハは、チェンバロに
も、ペダル鍵盤を装備し、多くのストップによる多様な音色の変化を駆使したであろ
うことは間違いありません。彼の息子であるエマーヌエル・バッハは、あるチェンバ
ロ・ソナタの楽譜に、ナザールやバフ・ストップを使って、多様な音色を創りだす方
法を書き込んでいますが、こういう工夫の多くは、おそらく父親から引き継いだもの
であったでしょう。

これらの事情を総合し、かつ、先人たちの仕事を踏まえつつ、私は、チェンバロの可
能性と、そこで演奏する音楽の可能性とを積算して、さらに新しい奏法を開拓しよう
と思っています。なぜなら、私にとってチェンバロは、既に古楽器ではなく、ちょう
どバッハにとってそうであったように、今なお生きて変わり続ける我らの時代の楽
器、そして、未来の楽器だと思えてならないからです。

(全文・武久源造 写真,一部校正/改行・optsuzaki)

2012-11-05

インヴェンツィオンとシンフォニアについて Part11

インヴェンツィオンとシンフォニアについて
Part11
武久源造



前回は、チェンバロ演奏の基本=一つの旋律を弾く際に、チェンバロでは何ができ、
何ができないのか、についておはなししました。これに引き続き、今回は、チェンバ
ロにおける音の種類の選択について説明しましょう。

来る11月18日に私が演奏するカークマン・モデルのチェンバロは、

2段の鍵盤、
3セットの弦、
4列のジャック、
5個のストップ

を持っています。別にいうと、このチェンバロは、

二つの演奏空間、
三つの音源、
四つの演奏メカニズム、
五つの音色、

を備えている、という言い方ができるでしょう。奏者は、これらを自由に組み合わせ
て、各曲の表現に最適な音の場を設定することができるのです。
以下、これについて、できるだけわかりやすい説明を試みましょう。

まず、鍵盤が2段ある、ということは、演奏に先立って、どちらの鍵盤で弾くのか、
しかも両手を同じ鍵盤で弾くのか、異なる鍵盤で弾くのかということを、決定してお
かなければならないわけです。
2段の鍵盤を使える、ということは、我々の左手と右手を異なる鍵盤に置き、それぞ
れ独自の運動空間に遊ばせることができる、ということであり、また、それぞれに独
自の音色を選ぶチャンネルを持つことが許される、ということです。これは、ピアノ
にはないチェンバロの魅力の一つです。(ただし、チェンバロにも1段しか鍵盤のな
いものもあります。)もちろんチェンバロでも、両手ともに、同じ一つの鍵盤上で演
奏することもできます。したがってここで奏者は四つの選択肢を持つことになりま
す。

1)両手共に下鍵盤、
2)両手共に上鍵盤、
3)右手は下、左手は上、
4)左手は下、右手は上。


次に、このチェンバロには弦が3セット張られています。したがって、一つの鍵盤を
弾いた時に、最大限三つまでの音を同時に鳴らすことができるわけですが、この場合
も、どれか1本の弦のみを使う場合、2本を組み合わせる場合、3本を全て使う場合と
で、総計7種類の選択肢から、自由に選ぶことができるようになっています。
3セットの弦の内、2セットは同じ長さで、それらは同じ駒上に張られています。それ
らは、普通のピアノと同じ高さの音を出し、8フィート(8')と呼ばれています。8フ
ィートという言い方は、オルガンの用語を借りてきたものです。
残りの1セットは、1オクターヴ高い音を出すためのもので、長さは8'のほぼ半分で、
8'とは別の駒上に張られ、4フィート(4')と呼ばれます。

さて、これらの弦をはじくための装置をジャックと言います。形状は、細く平べった
い木片のように見える物です。そのジャックがそれぞれの鍵盤の先端近くに乗ってい
ます。これが音の数だけあるわけで、横にずらっと並んでいます。これをジャック
列と呼びます。このジャック列が、このチェンバロでは4列装備されているというわ
けです。(これも、チェンバロによっては、3列の物、2列の物などがあります。4列
というのは、最大級の規模です。)
チェンバロに座ってカバーを外して眺めると、手前側から4列、ジャックが並んでい
るのが見えます。それは手前から順番に、

ナザール8'、
フロント8'、
バック8'、
4'、

と呼ばれます。4列の内3列までが、8'です。ということは、その3列は、同じ高さ
の音を出す、ということを意味します。それらのジャックが接触する弦が、同じ長さ
だからです。ただし、音の高さは同じですが、音色が異なります。それは、ジャック
の前後位置が違うことによって、弦をはじく位置が異なるからです。ナザールのジャ
ック列は、かなり手前にあるので、弦の端、駒近くをはじくことになります。その結
果、鼻にかかったような不思議な音がします。ナザールとはフランス語で「鼻にかか
った」という意味です。それとはかなり距離をおいて、フロント8'のジャック列があ
ります。この距離の分だけ、弦の真ん中寄りをはじきます。音は、より太くなりま
す。
バック8'は、さらに奥側にあって、その分弦の真ん中に近づきます。音はますます太
く、暖かな音色になります。
一般に、撥弦楽器、リュート、ギター、筝などでは、このように弦をはじく位置を変
えて、多様な音色を創っています。(筝では、特に生田流の演奏で、この技法の好例
を聴くことができます。)

さて、ここからがちょっとややこしいのです。がんばりましょう!
これらのジャック列のうち、ナザール8'とフロント8'のジャックは、上鍵盤に乗って
います。つまり、これらは上鍵盤によって動かすわけです。さらに、この2列は、同
じ弦を共用しています。ということは、この二つは、同時には使えない、ということ
になります。また、このフロント8'のジャックは、ドッグレッグ(犬の足)と呼ばれ
る独自の構造によって、上鍵盤と共に、下鍵盤にも乗っているのです。これにより、
このジャックは、下鍵盤によって動かすこともできるようになっています。この仕掛
けをカプラーと言い、下鍵盤を前後に動かすことで、オン・オフできます。オフにす
ると、このジャックは上鍵盤専用になります。
一方、バック8'と4'のジャックは、下鍵盤に乗っており、この2列はそれぞれ固有の
弦をはじきます。したがって、この2列は同時使用が可能です。ここで、カプラーを
オンにすると、4列のジャックのうち、3列までを下鍵盤で弾くことができるというわ
けです。これによって、この3列、即ちフロント8'、バック8'、4'に関しては、あら
ゆる組み合わせで弾くことができるけれども、ナザール8'は、孤立していて、残念な
がら他のジャック列と組み合わせることはできません。

これら4列の組み合わせの可能性は計算上は15種類ありますが、上述のように2列のジ
ャックが一本の弦を共用し、かつ、ナザールが孤立しているために、結果的に、奏者
は合計8種類の組み合わせを選べることになります。

さて、これら4列のジャックは、その先端近くにプレクトラムと呼ばれる爪を、弦に
向かって突き出すように装着されています。鍵盤の手前側をを押し下げると、梃子の
原理で奥側は上がり、そこに乗っているジャックも上がります。すると、ジャック先
端の爪が弦に触れ、さらに鍵盤を押し下げると、その爪が弦を巧くはじくように調整
されているわけです。このときの爪と弦の接触幅は、ほんの0.2ミリ以下ですので、
これらのジャックを、爪とは反対の方向に少しずらしてやるだけで、弦をはじくこと
ができなくなります。このようにしてジャックの作用をストップさせる、つまりオフ
にする装置をストップと呼びます。オン・オフスイッチと同じ機構です。これが、4
列のジャック列それぞれにありますので、計四つ、それぞれ専用のレバーで操作しま
す。それに加えて、駒ぎりぎりのところで、弦に小さなフェルト片を軽く触れさせる
装置があります。これを、バフ・ストップと呼び、やはり専用のレバーでオン・オフ
します。これをオンにすると、倍音がカットされて、リュートの音に近い音色が得ら
れます。この仕掛けは、上鍵盤の2列のジャックが共用している弦に装着されていま
す。したがって、ナザール8'とフロント8'を使う場合にのみ、そこにバフ・ストップ
をかけるかどうかの選択ができるわけです。

これら五つのストップ・レバーは、奏者の手の近くに装備されていて、演奏中に、こ
れらをオン・オフすることも、やろうとすれば不可能ではありません。この五つの音
色の組み合わせは、計算上は31種類ありますが、メカニズム上の制約があって、都合
13種類が利用可能です。

ここで、今までの話を整理しておきましょう。
つまり、このチェンバロでは13種類もの異なる音色を作ることができるのです。18世
紀人の知恵、なかなかすごいですね。これは、アイディアとしては、我々の時代のシ
ンセサイザーなどと、基本的に同じだと言えるでしょう。
しかし、それらの音色は、シンセサイザーのようにスイッチでもってデジタル的に組
み合わせられる、というのとはちょっと違います。
上に述べたように、この13種類の音色は、その中に、4種類の鍵盤の組み合わせ、7種
類の弦の組み合わせ、8種類のジャックの組み合わせ、という互いに異なる内容を含
んでいるのです。しかもそれらが、折り重なるような重層的な関係になっている。こ
れを奏者の側から整理すると、、

1)2段鍵盤の内、どの鍵盤に指を置くか、
2)3セットの弦の内、どの弦を使うか、
3)4列のジャックの内、どのジャックを使うか、
4)最終的に、五つのストップのどれを使って、どのような音色にするか、

この四つの選択を、我々は重層的に行っている、ということになります。分かりにく
い説明ですみません。

さて、一般に、楽譜というものは平面に書かれた2次元の情報です。我々奏者は、い
わばそれを3次元の音構造にして、聴き手の皆さんにお届けしています。その構造の
青写真は、まずはチェンバリストの頭の中にあります。そのデザインに沿って、チェ
ンバリストは、上述の4レベル、即ち、鍵盤、弦、ジャック、ストップの組み合わせ
を選び、その音構造を立ち上げるのに最適な環境を作っているということができま
す。

では、実際に『インヴェンツィオン』や『シンフォニア』のそれぞれの曲を私が、ど
の鍵盤を使って、どの弦を、どのジャックではじいて、どのようなストップの組み合
わせで弾くのか…。
その全てを、ここであらかじめ説明することは、残念ながらかなり難しいと言わねば
なりません。
もちろん、現段階で私の頭の中には、今回の本番でどうするか、その設計図はできて
います。しかし、チェンバロという楽器は、毎日少しずつ変化していて、同じ弦を同
じジャックを使ってはじいても、その日によって、予想外の音色になることが多々あ
るのです。我々はそれを踏まえて、本番の日の朝、楽器と相談しながら、最終的な計
画を練らなければなりません。なかなか、骨の折れることですが、これがまた、あっ
と驚く発見に満ちていて、楽しい。

まあ、とはいっても、ほとんどのデザインは、たぶん、私の設計図通りに実行するこ
とができると思います。それについて、少し予告しておきましょう。

(続く)

(全文・武久源造 写真,一部校正/改行・optsuzaki)

2012-11-04

休み石 ヤスミイシ yasumiishi yasumiisiも 休石

変なタイトル、てへへ。これはただの検索対策です(ちゅどーん)。

さて、お陰様で、今回で1,000投稿目となりました。
(ここ数回は、源造さんに他力本願ですが:)

コツコツ毎日やってきましたが、この間にもずいぶん
お店も世の中も、みんな猫の目のように変化がありましたね...。

そんな中、変わらずこれを読んでくださる皆さんと
出会えたことは、本当にありがたいことデス。

ああ、続けてきてよかった。で、まだ続くよっ。


2012-11-03

そうか祝日ね

ああ、それで午前中に、一杯メールが。

最近はオークション出品もほとんどお休みしているし、
自分が出す用事が減っているので、以前ほどメールを
いただくことが無いです。

お返事を打ち終わったあたりから、ガラスレンズの加工が次々と。

割ったり、欠けたりないようにするには、置き方や持ち方を
少し気をつけて加工しないといけません。

だんだん寒くなって来ましたが、店内のヒーターも掃除できました。
やはり11月は晩秋、足元から冷えるようになりました。

我が家でも風邪ひきさん続出ですが、みなさんもお体に気をつけて。
(と、メールのような結び・笑)


これはプラスティックの度数が強いもの。レンズの中心を出して加工機に回します。

2012-11-02

風ぐるま、きのう




全開でお目にかかる嬉しさしか なかったです






2012-11-01

風ぐるま、今日


さあ そろそろ 行ってきます