笠岡市 めがねと補聴器専門店・ツザキが お店の日常と 小さなまちでの活動などを綴ります
2017-07-29
地元愛を引き継ぐもの
昨晩は「小中一貫校について市長と語る会」に行ってきました。
感想や意見については、アンケートに「よくわからない」「考えてみます」と記したのがぼくですので、よろしく願います。
市長の小中一貫校を導入する具体的な理由は、主として笠岡市の人口減少への対応を踏まえてのもの、と受け止めました。
また、全国的な流れに乗って一貫教育を進めていく以上、なんらかの設備の補強はいるのだから、国の助成を積極利用できる時期は今だと、市長が政治的に判断している部分は、よく理解できました。各自治体においていつそのスタートを切るべきかは、迅速で客観的な判断がいるように思います。
またそれは自らの選挙においての公約ではなく、市長就任後の所信として打ち出したものなのだから、反対が多数(過半数と表現)であれば、案を引き下げるという言葉もありました。誰の反対をどうやってカウントするのか、という具体性はともかく市民が望むものでなければ、押しつけはしないという姿勢は潔いと思います。
それでも、日夜、とても地味な努力を続ける教育の現場からは批判が相次いだこともまた、自然かと思います。具体的事例を伴った現場のより大きな負担増、費用対効果の疑問視などが中心となった意見には、目論見としての人口増であるとか、行政のスリム化といった観点は全く見られないほど、争点がすれ違っていたように思います。
時にオピニオンの押し出しを必要とする政治の場が、正反対ともいえる教育の現場に折り合いをつけ、理解を取り付ける歩み寄りは必要です。激しいやり取りの上では、悪者役になっている市長ですが、辛抱に現場の意見に耳を傾けている様子に、言い放った辛辣な言葉を飲み込んだ質問者もいたようにみえました。
他ならぬぼくも先日のミーティングで、情報の錯綜に不満をぶつけた口ですが、市長の誠意ある言動に、本件への並々ならぬ意欲を感じ直した次第です。
ただ、地域で自営しているものの率直な意見としては、教育の基盤整備と地域の振興や定住を絡める発想は、いささか飛躍が大きいです。これほど大規模な区画整理が完成しても、その市への財政効果は限定的なものであり、本件よりずっと大きなお金のフローが見込まれる大学の誘致といったレベルであっても、地域デザインが書き換わるほどの時代は過ぎたように思います。
加えて、今回の意見の主役たる親たちの、生活者・消費者としての経済的なアティチュードは、小さな店をしていても、実にシビアに身に沁みます。そんな彼らが、教育のために住む場を選び、それにこたえた子どもたちの、いったい何人が故郷を捨てずに継続的な地域の力となっていくことになるのかを期待できるのでしょう。そもそも、ほとんどの親はそういった視座から子育てと地域へのつながりを考えていないと思いますが、いかがでしょう。