笠岡市 めがねと補聴器専門店・ツザキが お店の日常と 小さなまちでの活動などを綴ります

2014-09-20

青春を彩るローズ



ジョー・サンプルが亡くなったとの報道を先日目にしました。

フェンダー・ローズ・ピアノでの様々なプレイは頻繁に採譜され、キーボード・マガジン等のフュージョン系の特集でどれほど目にしたことでしょう。でもクルセイダーズは、レコードもCDも持ってはいません。

僕にとってのジョー・サンプルの音は、『二色の独楽』井上陽水の一曲目、傘がない-イントロダクション- のメロ弾きです。ダビングされた2本のセミアコの真ん中に、ありがちなフェイザーやパンがかかっていない“素の”ローズが、グロッケンのように響きます。

歌のない短いインスト、外国人にウェットな思い入れなくこのフレーズを軽くフェイクしながら奏でてもらうには、アレンジャー・星勝の的確なディレクションが必要だったでしょう。初心者でも弾けるシンプルなフレーズを 若いジョーは手を抜かずに大事に弾いていると感じます。

“二色の独楽”は今でもよく聴くアルバムですが、今秋もアルバムを中心としたツアーが組まれている“氷の世界”に比べると、妖しく危なげで、当時中学生の僕にはわかりにくい(わからなかってもいい?笑)、大人のためのアルバムでした。


大学の折、クルセイダーズの松江公演の搬入・警備のバイトをする機会があり、バックステージでも楽しい時間を過ごせました。ウィルトン・フェルダーと、県民会館傍らの松江城まで二人で散歩して、カタコトで案内させてもらえたのもいい経験でした。バリー・フィナティ、レオン・チャンクラー、そしてラリー・グラハムといったビッグネームたちも、なんともフレンドリーな人たちでした。

が、物静かで眼光鋭く、威厳のあるジョーに語りかけるスキは、どうしてもありませんでした...。

CDやレコードで演奏を耳にしたミュージシャンに、何人実際に会えるかというと、それはやはり限られたことですし、ご縁のあるなしはあるようです。、会える、というのは、いつの時代も何にもまして貴重なコミュニケーションですね。