坂本龍一さん
何度かコンサートに足を運ぶことはあっても、とうとう直にお会いできる機会はありませんでした。最も近寄ることができたのは、このときですかね。僕の席は坂本さんのキーボードブースの真正面でした。
たしか幸宏さんから借りていたという、Oberheim OB-Xaで「Rose Garden」のシーケンスフレーズを懸命に手弾きするあなたの横顔は、カッコよかったです。
あの5月から、ふと振り返ればこんなに月日が経ってしまいました。有名人・偉人扱い、一方で雲霧のそれを妬み、わざと貶めるような言葉も浴びるほど聞かれたことでしょう。
なすべきをなしていくあなたの姿は、あの倉敷のコンサートからずっと同じでした。そんな命の流れに沿った長大な音楽を 奏で続けていたのでしょう。
同じ時代に生きていて、少し先を歩む、一回り上の兄のような人でした。存在に感謝しかありません。
安らかに おやすみください