カトリック教会オルガン演奏会
2月3日(日)、つまりU9のライヴを催したその日の、17:00よりカトリック福山教会でオルガン演奏会を催した。つまり、私は主催のハシゴをしたというわけである。両方のコンサートで、仲間の協力によって、こんなアクロバットを犯しても何とかことなきを得ることができた。関係して下さった双方の協力者に感謝申し上げたい。
「やすみいし」においては、U9の陰に隠れた感があるが、これもまた素晴らしい演奏で、たやすく忘れてしまうことのできないものであったので、久しく記憶にとどめておきたいと思って、レポートしておく。
演奏は、仲谷沙弥香(オルガン)、それに奥野純子(ソプラノ)と甲田恵(オーボエ)がゲスト参加した。
この演奏会で特筆すべきは、プログラムの全曲がブクステフーデの作品であったということだ。都会でそんな演奏会は驚くことでもなかろうが、私たちの住む街では、おそらく初めてのことだと思われる。
ブクステフーデと言えば、何と言ってもオルガン独奏曲が頭に浮かぶ。私自身、「全集」のCDを4組も持っていて、折りに触れて親しんできた。
しかし、仲谷沙弥香は、豊穣なブクステフーデの世界を、独りオルガン独奏に求めるのではなく、むしろオルガンを脇に従えた宗教声楽曲を紹介することで、ブクステフーデの様々な表情を見事に引き出してくれた。そういえば、仲谷は、ヴァイオリン、チェロとともに、ブクステフーデのソナタを演奏したこともあった。それほどに、ブクステフーデに寄せる思いの広さ深さが窺い知れる。
演奏会は、ちょうど一年前に武久源造がチェンバロで演奏した、「プレルーディアム」に始まり、ソプラノが歌う「安らぎと喜びもて我は逝く」-「嘆きの歌」が続けて演奏された。ソプラノ旋律の美しさもさることながら、誠実であたたかみのあるオルガンの伴奏も素晴らしい。「パッサカリア」、コラール変奏曲「天にまします我らの父よ」とオルガン独奏が披露され、最後に、ソプラノとオーボエの入った「主に向かって新しい歌を歌え」が演奏された。もともとは、オーボエではなくヴァイオリンが用いられる曲だが、あえてオーボエにしたことによって、独特の彩りを添えた。しかし、そうかといって曲の味わいをそこなうものでもなかった。